きものに代表される、和の伝統文化。150年以上前に呉服問屋としてスタートしたツカキが、今日まで商いを続けてくることができたのは、それらの文化が長きにわたり守られ愛されてきたことの賜物です。
伝統文化に育ててもらった私たちだからこそ、その歴史を絶やすことなく次世代に向けて守り伝えていくことは、何をおいても果たさなくてはならない使命だと考えています。
たとえば京都の伝統工芸である西陣織。マーケットの拡大を目指し、帯の他にも屏風や衝立(ついたて)、世界の名画を織物で再現するなど、アートという新分野の開拓にも取り組んでいます。
2016年に主催した「西陣織 丹後織物フォーラム&黄金の織物展」では、西陣織の素晴らしさを地元に広く知ってもらうだけでなく、職人同士が交流することで結束を深める場を企画。地元の来場者が織り手の名前を見て「あの○○さんが!」と感心したり、「丹後に生まれて良かった」とまで言ってくれた中学生も現れ、産地を大いに喜ばせました。こうした試みは、創り手たちのモチベーションアップにつながり、後継者問題や設備の老朽化など課題解決への明るい材料となっています。
作家性の高い加賀友禅においては、女流作家を育てるため毎年「加賀友禅 選抜女流作家競技会」を開催。競技会スタート当初は男性作家ばかりでしたが、いまでは女流作家なくして加賀友禅は語れないほどの存在感を放つようになりました。これからも若い感性、女性らしい感性を生かして、加賀友禅を盛り立てていってもらいたいと考えています。
そしてもうひとつ、ツカキが力を入れるのが、歴史ある建物の保存・再生事業です。町並み保存地区である五個荘金堂町に本宅をもつ塚本社長は、自らも歴史情緒あふれる美しい景観のなかで育ちました。古い建築物がもつ歴史的価値や癒やしの力だけでなく、修理・保存についても知識と経験を持っています。
その知恵と情熱を注ぎ、数々の歴史ある建物を保存し、現代の生活様式に合わせて再生することに取り組んでいます。古い建造物は地域のかけがえのない財産。安易に取り壊すのではなく、適切に手をかけることによって見違えるように輝きだします。行き場を失っていた建物が新たな役割を担い、地域の活性化に役立つ姿を見るのが、私たちの喜びなのです。