2014年8月27日 (水)
織り物の里 丹後産地へ
海が美しい京都府の丹後半島へ行きました。
大きく広がる日本海 ほんとに海がきれい・・・
今日は、塚喜商事㈱あさぎ事業部の協力工場の十数軒を訪問出張です。
当社のこの事業部は、西陣織メーカーです。
「証紙番号577」が、当社としての西陣織の織元としての登録番号です。
京都市内(西陣)と付加(丹後)に機場を抱えています。
あさぎ事業部は、超高性能な織機「1800口ジャガード織機」を所有し、熟練した機屋さんに、毎日、織って頂いています。
田中さんを訪問しました。
経糸(たていと)を櫛(くし)のようにさばく筬(おさ)を磨いています。
グラインダーで磨き、筬が尖がって経糸を切らぬように手入れをします。
料理人が包丁を研ぐようなものですね。
1800口ジャガードは、多くの杼(ひ)を用います。
シャトルバスは同じ区域を行ったり来たりしますがシャトルの原語は杼(シャトル)です。かくして、杼が緯糸(よこいと)を携え、右や左に往復して織りなすのです。
美しい色糸を管(くだ)巻きし、杼へ装着して機織りをして美しい織物となります。
私は、くだを巻いて家内からクドいなあと嫌われています(>_<)
田中夫妻とご一緒に・・
織機に貼っている12丁の杼の色糸のメモです。
澤さんを中心に右は木本さん
澤健一さんは、当社の藤村さんのお兄さんで、西陣織の若手の名手です。
能勢さんとディカッション
途中で、丹後の名所、立岩に遭遇しました。
玄武岩で、実にユニークです。
木橋があり、とてものどかな風景です。
丹後地方から、兵庫県に至る海岸に玄武岩のそそり立つ風景がよく見られます。
城ノ崎温泉(兵庫県北)にも、玄武岩の海岸線がありますね・・
丹後の最低織賃金の施行の件で、機屋さんで市会議員であるAさんと話をしました。
あさぎはこの問題はクリアしていますが、織り手の若返りを考えると、織り工賃や待遇の改善に取り組む必要性を痛感しました。
超極細織の名手 鍋島さんです。
1800口ジャガードで織った袋帯(小幅)
余りの精密さに手描きかと思いきや超精密な西陣織なのです。
ウラ糸がたわわになっています。
織が複雑で、緯糸(よこいと)の色も沢山使い、杼(ひ)箱も12丁づつあります。
機屋の日本一まとめ役の木本さんの親子です。
伝統産業は、何よりも人の和と信頼関係が大切です。
色々な点で学ぶことが多く、課題を痛感した丹後出張でした。
後記
1800口は西陣の最高級織物ですが、おおきな時代の流れを感じました。
織機のメカが進化し、駆動部がメカトロのダイレクト・ジャガードになり、織組織の情報伝達は紋紙(パンチカード)からフロッピーになりました。
西陣織は進化し世界最高水準に達しましたが、その後の産業構造の変化で、世の中はフロッピーからHSB、98からウィンドウズ、メカもリレー式から電子式に変化しています。
西陣はガラパゴスだといわれる由縁です。
我々は、西陣織メーカーとして、織り手の若返りと育成、織機の部品などの更新とリノベーション、デザインの創造、マーケットの創出、ヒットする売り方の革新が必要です。
織り手と2人3脚で、西陣の伝統工芸をしっかり次代へ継承し、世界一の技術、デザインにしたく思います。