2015年9月30日 (水)
京都の伝統産業の産地・・・丹後地方
「塚喜さん、死んだんちがう?」
「いえいえ、ピンピン生きとります。」
10日間、サーバーの入れ替えでブログアップできずにご無沙汰しました。
京都府は、内陸の南部の「歴史と文化の京都市」と、日本海に面した北部の「丹後地方」があります。
丹後は、伊勢神宮よりも古い元伊勢(もといせ)の神社が沢山あり、天橋立近くの籠(こも)神社の宮司さんは、日本一古い家系図(国宝)の海部(あまべ)一族です。
さて、建都1200年新興の「京の都」から、1500年も昔の神話の国・丹後地方へ出発です。
福知山から丹後鉄道に乗換えます。
特急たんご1号です。
峰山(京丹後市)は、きものの大産地です。
このあたりの日本海側は大昔、日本の表玄関で大陸の文化の窓口でした。
あさぎの西陣織のたて糸を作る工程です。
翔英整経さんです。
あさぎの丸帯を織っています。(小森さんの工房)
塚喜商事㈱あさぎ事業部は、あさぎの技術に精通した十数軒の丹後の機屋さんに「1800口ジャガード織機」を貸与し、「西陣織美術工芸あさぎ」の伝統的技術力を磨いています。
京丹後市の木本さんの取りまとめで、藤田さん(京丹後市の市議)はじめ、多くの機屋さんの協力により支えられているあさぎの生産現場を紹介しましょう。
美術織の名人、松見さんです。
織物の織図面です。「ゴッホのひまわり」
よこ糸の管に巻かれた色糸の数々。これで、ふくれ織を駆使して織物で油絵を創ります。
織機はコンピュータ制御ですが、人の技術、感性に頼ることが大変に多く、伝統工芸の極致の作品です。
織物の独特の技術で、印象派(ゴッホなど)は原画以上の感動を生み出すことが可能です。
「西陣織美術工芸あさぎ」の技術を支える能勢さんご夫妻
尾形光琳の燕子花(カキツバタ)屏風の織図面へ挑戦
屏風(国宝)の左双、右双を織り物で創ります。
美術織物は、考証と繊細な意匠図、織り手の技術とセンス、織機の高性能と繊細なメンテナンスが必須です。
この度、フロッピーディスクからUSBのコントローラとディスプレイを新調しました。
フロッピーのキズ(織りキズの原因)がなくなり、飛躍的に織物の精度が向上しました。
多額の投資ですが、織屋さんの協力にて織機の部品の交換、近代化を進めています。
さらに3か年計画で織機の性能の向上をめざしています。
もう一人も名人、鍋島さんです。
小幅で1800口ジャガードを駆使して、美術工芸の織物を作ります。
伝統工芸は、「ベテランの技術、若手の活力」が永遠のテーマです。
弘法大師(空海)の真筆を織り物で再現した「風信帖」(国宝)の掛け軸を作ります。
風信雲書自天翔臨・・で始まる有名な「空海から最澄への手紙」です。
中国の名筆家・王義之のような風格のある空海の傑作です。
名人・鍋島さんの不断の努力により、「西陣織美術工芸あさぎ」は進化しています。
「丹後ちりめん」の代表的企業、田勇機業㈱を訪問しました。
ちりめん(絹の白生地)を織る大規模工場です。
工場と隣接する田茂井さんの屋敷には、重森三玲作庭の庭があります。
若き当主、田茂井勇人社長です。
先代の田茂井ご夫妻にはお世話になり、京都・吉田の重森三玲旧宅の招喜庵(弊社施設)や、五個荘の拙宅にも先代ご夫妻でお越しを頂きました。
後記
実は今回の丹後の産地訪問は大阪の大手百貨店さんの外商部さんのバス研修で参りました。
外商部のトップの常務さんの陣頭指揮で、2班(2日間)に分けた本格的研修で、その熱心さには頭が下がり、産地より心より感謝感激です。
日本の伝統工芸の発展のため、我々「西陣織美術工芸あさぎ」はさらに精進します。