2016年12月28日 (水)
伝統文化が息づく山中温泉
師走の連休に家内と加賀の山中温泉に行ってきました。
いつもお世話になっている『かよう亭』さんです。
「日本一の朝食」は、脂の乗り切ったハタハタが旨いですね。〈かよう亭さんの陶板〉
展示物は、亭主の上口昌徳さんの美意識にかなったものです。
これは中国の殷(四千年前)の陶器の壺です。
お正月を待つハボタンと南天・・・心憎いですね。(^O^)
雪吊りを施した椿
お部屋の床の間の掛け軸(坂野雄一さんの篆書)
素晴らしい書と好みのいい軸装ですねぇ~
いつもお馴染みの鶴仙渓、緑と水があふれオゾンが一杯です。
水量豊かな大聖寺川
あやとり橋が天空にかかります。(デザインは勅使河原宏、いけばな草月流3代目家元)
100メーター近くある大きな橋です。
松尾芭蕉(1644-94。51歳で没)が奥の細道の旅行のおり、元禄2年(芭蕉41歳)、
山中温泉の泉屋で9日間も滞在したことが有名です。
芭蕉は、永い間、同行した弟子・河合會良(かわいそら、芭蕉十哲のひとり)と
ここで別れることとなります。
この泉屋のお隣の扇谷(明治38年築)が、10年前に芭蕉の館として生まれ変わりました。
「芭蕉の館」の前の石像・・芭蕉と會良のとのつらい別れのシーン
芭蕉の館と見事な庭の雪吊り
内部の構造
松尾芭蕉のお軸
山中温泉は芭蕉堂など、熱烈な芭蕉ファンが多く、句碑が沢山あり、
俳句の会などとてもさかんな地域です。
山中温泉は、山中塗りで有名で、漆芸や木地師(ロクロ師)が多く、人間国宝の川北良造(1934年~。山中町出身の人間国宝、木工芸)らが有名です。
見事なけやきの大皿(川北良造作)
昔のけやきの壺
山中温泉は、九谷の陶器の産地も近く、とっても教養レベルの高い地域です。
現役の芸者も養成しており、有名な山中節も盛んで、歌舞練場(山中座)もあります、
お隣り町の山代温泉の総湯
名湯が安い(@440円)ので総湯に浸かってきました。
山代温泉は北大路魯山人(1883-1959)が長逗留したのが有名です。
温泉旅館の富裕な旦那衆を相手に論壇し、旅館の大看板を篆刻で彫ってやりました。
魯山人は、山代の焼き物の大家、須田菁華に師事して、陶器を習いました。
山代での魯山人の生活は非常に充実した時期で、晩年に大きな影響を与えました。
山代温泉の薬王院温泉寺、行基菩薩の創建(725年)です。
温泉寺のお隣は服部神社は山代温泉の守護神(和銅年間に創建、710年ころ)
神馬の石像
昭和3年に青銅で神馬が作られ、昭和18年(戦時中)に鉄の供出で青銅像が駆り出され、昭和28年(終戦後8年後)に石像として再建されました。
ペガサスのように馬に羽があり、地元の人の信仰で、石像としてよみがえりました。
樹齢800年の巨樹です。
山代町の人々の心の豊かさと、伝統を重んじる熱いパアーを感じますね。
山中と山代の加賀の温泉郷をと1泊で廻りましたが、とても、心の滋養を頂戴しました。
ありがとうございました。