2019年3月4日 (月)
振袖と成人式
先日、ツカキ・グループで振袖の未来について話し合いました。
◆まず、トップバッターは京友禅染メーカーの㈱京朋です。
パワーポイントを使いながらの発表です。
問題は・・・・
1.セル(販売)が減り、レンタル増加、さらに「ママ振り」(お母さんの昔の振袖)増加
2.コスチューム(伝統衣裳から流行品)の振袖、メンテの簡単な合繊振袖の台頭か?
3.きものの製造インフラの縮小と生産力の低下
今年は、特に刺繍屋さんが手一杯で振袖の納品が遅れました。
京都のきもの産業は分業ですので弱い加工段階が止まると全体がストップします・・・
・振袖マーケットの変化は・・・
購入が20%、レンタルが40%、「ママ振り」が40%の見込み・・・
この予想は、振袖専門のスタジオは何であれ生き延びられますが、新しい振袖を製造しているメーカーは生きていけません。
私見ですが…振袖は、まず伝統文化の花形であるきものの価値を伝えご購入をお勧めしたいですね。
伝統工芸品である振袖をご覧頂き欲しいと思って頂くことが、きものファンへの第一歩ですもんね。
◆次は、塚喜商事の京都事業部の岡本君の発表です。
彼は卸営業マンとして、貸衣裳屋さん、写真スタジオさんルートを主に担当しています。
ママ振り増加で振袖仕入れを控えるお店が多く和装小物は好調ながら振袖は厳しいですね。
◆東京事業部の長島次長(MD統括)
彼は呉服卸のMD(商品作り)と卸営業マンとして、振袖の現状を語りました。
彼は、多くの振袖パンフレットを作る大手のVC(ボランタリーチェーン)と取引がありますが、市況は厳しいですね。
1年前の成人の日に「はれのひ」が倒産して大変な騒ぎでテレビで社会問題となりました。
しかし、呉服店の懸命なフォローで業界として振袖危機は回避できました。
結果として消費者は地元の老舗呉服店、大手の信用のある店に集中し、活況を呈しました。
振袖業界の存亡危機のとき呉服店のお客様本位の行動力は語り草になるでしょうね・・
◆次は、写真スタジオからの意見です。
話題のママ振りについての分析
娘をもつお母さんは成人式を控えて、ママ振りについては重要な関心事です。
女子大生の娘が新しい40-50万円もする振袖の代わりに、お母さんが愛用した振袖を着てくれることは本当に嬉しいことです。
振袖店(スタジオ)とすると、和装小物の新調でいい商売になり、余ったお金で写真アルバムを張り込んで頂ける。
また、ママ振りを成人式で着た後で、永年のたんすの中で発生したシミ直しや修理加工の依頼が多くつながりができる。
困りごとは・・・・議論は喧々諤々です。
「ママ振り」への対処・・・家族愛の結晶とみるか、業界の鬼っ子とみるか?
きものの伝統的な伝承と思い、大いにお母さんの振袖を讃えましょう(^^)
もしも、呉服店の販売腕力自慢で「ママ振り」を振袖購入に覆すと、目先の売り上げ確保の代償として、ネットで悪いウワサがたちます。
・・・強引に自店の振袖を押し付ける店という印象は具合が悪いですね。
◆振袖の着付けの現場では・・・発表する生末君(東京事業部)
美容系着付けと呉服系着付けの二つの領域があります。
結婚式の着付けは美容系、成人式の着付けは呉服屋さん系が仕切っている。
成人式の着付けは30万人が一斉に着て、一方、高齢化する着付け師は減っています。
だから朝4時から着付けを開始して、朝10時の成人式に間に合わすのは至難の業です。
来年、再来年の振袖着付けの予約するお母さんが多く、2020年、2021年の着付け・美容枠の確保をされますね(@_@)
◆「街角きものレンタルショップ」からの意見です。
成人式にきものを着ないと決めていたが、やっぱり振袖を着たいと思う人が沢山います。
12月になれば、振袖戦線はすべて終了しますが、ここから第2振袖戦線は始まります。
街角ショップで、急に振袖レンタルをされる人、振袖を持ち込み美容・着付け・小物レンタルを
1カ所でできるので飛び込んでこられる方・・
外人の振袖レンタルの急増、特に東京の新宿区の成人式は半分が外人さんですね!(^^)!
・・・この大量の振袖女性を見て、外人観光客の「フリソデを着たい」人が急増します!
◆「きもの宅配レンタル」の急増について語る村岡君(塚喜商事・京都事業部)
WEBで、きものを選ぶ→お申込み→商品のお届け→ご着用→ご返却、が一貫しています。
消費者目線で眺めると、
・呉服屋さんで振袖をご購入
・振袖スタジオでレンタルする。
・ママ振りで済まし、美容と着付けのみを依頼する。(和装小物を新しくする)
・ネットできものを宅配レンタルで借りる(自分で着付け、美容室を探す)
・間際に、きものの街角レンタルで借りる(着付けと美容もレンタルショップに頼む)
・留学生が急に振袖を借りる、外人観光客も借りる。
・メルカリで中古振袖を購入し、成人式後に売却する。
◆最後に全員で、消費者目線で見ると「どれが得か?」という議論になりました。
「一番、安心できるのは振袖スタジオかもしれないね。」
「でも割り得くは、呉服店のシンプルな購入かレンタルで、行き届いていいね。」
「WEBレンタルは安いが美容室と着付け師がバラバラになると成人式に間に合うか?」
「街角レンタルは、成人式対応はまだまだ不慣れだね。」
「貸衣裳屋さんは、苛烈な振袖戦線でうまく対処できているところは少数派だね。」
言いたい放題の議論は白熱しました。
振袖マーケットは驚くほど多様化していますね(^_-)-☆
未来は、振袖のデザインを自分で考えデジタル化して個人のオリジナル振袖も作る・・
未来を見つめて、頑張って勉強しま~すヽ(^。^)ノ