2020年11月24日 (火)
秋の美術館めぐり・・・細見さんと泉屋さん
昨年8月、西陣織あさぎ美術館を開館し、京都市内博物館施設連絡協議会(京博連、会長は佐々木丞平館長=京都国立博物館=280館加盟)に加盟させて頂きました。
それ以来、各美術館から企画展の度にポスターと招待券を送って頂けます。
小生も勉強のためにできるだけ訪問をするようにしています。
今日は、細見美術館と泉屋博古館さんを家内と一緒に訪問しました。
岡崎のロームシアター京都の横に細見美術館さんがあります。
この建物は、大江匡氏(プランテック)の設計です。
細見亮市氏(1901‐78)は、泉大津市(大阪南部)にて毛織物業で成功し、仏教絵画、仏具、銅鏡を蒐集しました。
次代の細見實氏(1922―2006年)は江戸絵画である琳派、伊藤若冲を見い出しコレクションをしました。父は宗教美術を至上とし、息子との価値観をめぐる確執があったそうです。
1998年に細見美術館を開館しました。
3代目の細見良行氏(1954-)へと3代にわたり、重文の絵画2点、彫刻1点、工芸品13点、考古資料などを蒐集しました。
今回のテーマは「琳派と若冲」
カタログより一部紹介しましょう。
・伊藤若冲の「群鶏図」(1796年)
・酒井抱一の「鹿楓図団扇」
・伊藤若冲の「雪中雄鶏図」
・神坂雪佳の「金魚玉図」(明治末)
岡崎から東山まで歩きました。
泉屋博古館さんです。
住友家は1952年、屋号を「泉屋」といい精銅において「南蛮吹き」と称するやり方で銅と銀を分離して取り出す法で大成功をし、由来、精銅業を祖業としました。
泉屋博古館(せんおくはくこかん)のコレクションは、住友家15代目当主の住友吉左衛門(1864-1926)は数奇者として有名で、中国古代青銅器類を蒐集しました。
その長男の住友寛一氏(1896-1956)は中国の明・清代の絵画、16代当主の住友吉左衛門(1906-93)はアララギの歌人として知られ美術品を蒐集しました。
住友家自体は、1947年の財閥解体によって実業から身を引きました。
収蔵品は、国宝2点、重文12点ほか多数。
開館60周年「住友コレクションの原点、記念名品展Ⅱ」を開催です。
実に素晴らしいコレクションです。(カタログより掲載)
・鍍金魁星像(元時代)
・伊藤若冲
東山を借景に素晴らしい光景です。
帰途、東山を散策しました。
禅林寺(永観堂)さん
南禅寺さんの山門です。
石川五右衛門が山門の楼閣から「絶景かな!!」と言って有名ですね。
紅葉シーズンとGOTOキャンペーンが重なり、東山界隈の混雑を避けて南禅寺のお屋敷街を散策して帰りました。
後記
数寄者が3代続くと大コレクションとなりますね。
まずは初めに蒐集した人の「経済力、時の運、審美眼」の3拍子が揃うことでしょうね。
ここで美術品の方向性とレベルが決まるようです。
2代目は、先代と葛藤しながら審美眼をさらに磨いて美術に突き進む。
3代目は、さらに洗練されますが、「時の運と経済力」を味方につけるのはとても困難なことで、「本業と数寄者」の両立はよほどの器量人でないと難しく、細見さんと住友さんは偉大ですね。
弊社は本業(織物業)のための美術館であり甚だ無粋ですが、職人の名人芸と日本の美意識をしっかり伝承・発展させた一心です。