喜左衛門ブログ:President Blog

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2021年2月24日 (水)

美術館スタッフとともに織物研修

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明治以降、西陣織を近代産業に導いた先人である川島織物セルコンと龍村美術織物を見学しました。

◆まず、京都市の北部の静市にある㈱川島織物セルコンを訪問しました。


広大な敷地を持つ工場です。
山口進会長さんがにこやかに迎えて頂きました。
会長さんから、㈱川島織物セルコンの歴史を伺いました。
1843年、富山県城端で初代・川島甚兵衛氏は呉服悉皆業「上田屋」として創業しました。
2代目・川島甚兵衛氏は京都へ出て、明治の世に近代産業としての織物を発展させ、皇居のお仕事(内装)を手がけ、帯、緞帳、カーテン、壁クロスなど色々な分野に進出しました。

本日は、右から松嶋MD、私、松井マネージャー、美術館スタッフ(右から山城、澤田、吉川)の「西陣織美術工芸あさぎ」のメンバーで訪問しました。

2006年、川島織物は、神戸のセルコン(高級カーテンの百貨店卸業)と合併
2009年、川島織物セルコン、豊田紡織、豊田通商とで、TBカワシマを設立し、カーシートの事業を移管されました。
2011年に川島織物セルコンは住生活グループ(リクシル)の完全子会社となったが、2020年11月にMBOにより川島織物セルコンの経営陣による株式の買い取りにより、リクシルを離脱
山口会長さんの話は、手に汗を握る老舗・川島織物セルコンさんの決断の瞬間でした。

ここから川島織物セルコンさんの佐藤さんの案内で、現代の挑戦と皇室とのつながりの深い歴史と伝統、技術の見学です。
デンマークのフリッツ・ハンセンとコラボした3人のデザイナー(青木明子、井野将之、堀内太郎)の作品です。(制作:川島織物セルコン)
3人のデザイナーの椅子の制作

椅子の競作


お召列車の内装(制作:川島織物)

川島織物セルコンの工場見学、さすがに売上300億円、社員千人を抱えるファブリックメーカーです。
糸の染色工程

合繊の糸染め(高圧、高熱が必要)

さすがの規模の染色工程ですね!(^^)!

緞帳(どんちょう)


横幅が30メーター位ある織物です。
さらに幅が広いと、うまく結合させて50メーターの幅の緞帳も制作します。

緞帳の広大な工場を見学しました。

川島織物らしい壁クロスの新しい挑戦です。



伝統は革新の連続・・・川島織物セルコンらしい言葉でした・・・

◆続いて龍村美術織物を訪問しました。
大阪の両替商であった龍村平蔵氏(初代、1876-1962)は大阪から京都に来て、1894年に織元を創業しました。
明治の日本で近代化の波の中で、西陣織として帯地の生産を始め、輸出を目指し、また、明治~昭和の天皇の宮殿などのインテリアなどに挑戦しました。
龍村平蔵氏は、正倉院の織物の保存承継に情熱を燃やし、古代の織物の研究に没頭しました。
当主は代々、平蔵を襲名(現在は4代目)

戦後、西陣織ブームに乗り、航空機や新幹線のシートや自動車のカーシートの生産へ挑戦しました。(カーシートは後に移管)
現在、龍村美術織物は、美術織物(インテリアなど)、産業資材(JAL,ANAに納品)、帯地(百貨店ルートで販売)を生産しています。

後記
西陣織あさぎ美術館のスタッフは、ご両社から正倉院の御物の再現、精緻を極める西陣織物の技術、京都の織物の近代化の源流を勉強しました。
この両社が日本の産業の近代化、日本の伝統工芸品を世界的にレベルアップし輸出に貢献したことは大いなる京都の誇りです。
また、正倉院や有職故事を研究し、皇室のインテリア・調度品を近代化し、両社が皇室から格別に愛されている歴史は、尊敬に値します。
伝統産業にあって、革新の炎をあげ近代化への道をまい進した両社のフロンティア精神は、今、我々にとって一番大事なことだと思います。
「日本の伝統と文化」を担う川島織物セルコンさんと龍村さんを見学し、「我々の使命と未来への道」を感じる貴重なひとときでした。
川島様と龍村様の格別のご好意に、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。