喜左衛門ブログ:President Blog

喜左衛門ブログ:President Blog

2021年3月8日 (月)

ツカキ・スクエアの近所の室町散歩

LINEで送る

先週の土曜日の夕方、営業終了後に弊社の近辺の室町通りを散歩しました。
「室町」(むろまち)とは呉服問屋街で、呉服業界をさす言葉でもあります。

◆四条烏丸の室町通りに大松㈱さん(呉服卸)があります。
さらに歩くと世界でも珍しい染色のための美術館「染・清流館」があります。

「染・清流館」(大松㈱さんの施設)から、招待状を頂き見学に行きました。

美術館の中には、15名の染色作家のタペストリー、オブジェ、きものが展示してあり、館内の美術ボランティアさんと色々と話をしました。
実に楽しい染色談義でした!(^^)!

小生の若い頃、大松㈱さんの小澤淳二社長(当時、現会長)の別荘に、個人的に招待して頂いたことがあります。
いわゆる南禅寺の豪壮な別邸街にある小澤さんの別荘「清流亭」(東郷平八郎が命名)で夕食をご馳走になりました。
実に風雅で雄大な庭園に囲まれた手入れの行き届いた文化財の別邸でありました。
小澤淳二さんのおもてなしに感激し、後年、色々とご教示頂きました。

大松㈱さんの創業者、小澤悦治さんの思いもあり、目先の利益ではなく伝統とクリエティビティのある染色の創作の流れを作ろうと染色作家の「清流会」を結成(1991年)されました。
高い「志」を感じる「染・清流館」でありました。
いくつもの美術館のリーフレットの配架台の真ん中に「西陣織あさぎ美術館」のも置いて頂いていました。

ありがとうございます。

室町通りをさらに北へ歩くと、京朋ビルが見えてきました。

ツカキグループのきものの製造を担っている企業です。

三条通り(旧・東海道)まで来ました。
文椿ビル(大正9年築、木造の洋館)です。

◆この前に千總があります。

千總さんは、創業弘治元年(1555年)の京都の老舗になかでも最も古い歴史を持ちます。
代々の当主は「西村總左衛門」を襲名しておられます。
千總「CHISO」は京友禅の最高級なブランドで、百貨店の呉服売り場の一流品として知られます。

千總の八角形の商標をモチーフに思いを込めた打掛です。

千總の美術館には、千總で使う伝統の京友禅の道具を展示しています。

展示室には、千總の歴史、西村家に残る代々の嫁入衣裳などが展示されています。
・・・色を巡る展「くろ」・・・
黒地の婚礼衣装、黒留袖はじめ黒のイメージから、夜の「月に猫」、「頭骸骨に月」や、カラスの図など、非常に特徴的なコレクションです。
さすがに文化とデザイン性で世界から注目の千總ブランドですね。
スタッフの方から、社長夫人(先代の總左衛門さんの長女さん)が注力されている新しい千總さんの作品群(スカーフやバッグ)について、親切に説明をして頂きました。

◆散歩から弊社への帰りに四条烏丸の「COCON烏丸」に寄りました。
このビルは、1938年(昭和13年)に丸紅の京都支店として建築されました。
京都のビジネス街の中心地として戦前からこの巨大ビルはそびえたち、第2次大戦も無傷で生き続け、進駐軍(GHQ)に接収されました。
小生の幼い時は、進駐軍から丸紅へ返還されたこのビルに「丸紅飯田」(丸紅と高島屋飯田㈱が合併、現在の丸紅の母体、尚、高島屋百貨店の創業者は飯田新七氏)の看板が掲げれていました。
2004年、隈研吾氏により大リニューアルされ生まれ変わりCOCON烏丸となりました。
ビルのファサードに唐長(からちょう)に伝わる天平大雲のデザインが施されています。

COCONの人気テナント「リスン」(お香屋さん、松栄堂、創業1705年)です。

松栄堂さんの社長の畑正高さんは、私より6歳若く同志社大学出身で伝統産業の旗手です。
お香の老舗でありながら全国に出店し、松栄堂さんの本店には「薫習館」(体験型のお香ミュージアム)を作られ、アロマも製造されています。
この「リスン」は、“お香を聞く”ために、若い方、外人さんのために作られた店です。

COCON烏丸の人気店、ふすま紙屋の「唐長」さんのお店です。

COCON烏丸は、隈研吾さんの手でこの度、再び改修されるようです。
楽しみですね。

コロナ禍の京都の室町(呉服問屋街)ですが、伝統の新しい息吹、高い志をしっかり継承され心強く思いつつツカキ・スクエアに戻りました。
満たされた気持ちになった土曜の夕方のひとときでした。