喜左衛門ブログ:President Blog

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2021年9月13日 (月)

アメリカの「株主資本主義」と「日本的資本主義」

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「株の投資は大っ嫌い(>_<)」、「特に外国株式は虫唾が走る”(-“”-)”」とお考えの方はお許しください。
少し、世間話と思っておつきあいください。

株式は「国の経済という畑」からとれる農産物のようなもので、その国の国民性や政治によって大きく左右されます。

順番に見ていきましょう。
小生の勝手な思いで間違っていると思われる方は、笑ってください。

◆中国・・・共産党資本主義
毛沢東(1893-1976)が晩年に起こした文化大革命(1966-76)で随分に国が荒廃しました。
鄧小平(1904-1997)は、「改革開放」(1978―)を掲げ、「先富論」(先に豊かになれる者を富まし、落伍する者を助ける、富者は貧者を助けることを義務化した)を主張し、中国は大きく成長しました。

習近平(1952―)の政権下(2012―)で、近年、共産党の躍進(人民を統制し、党が経済の中枢を握る、管理経済の強化)と、中国の資本主義の飛躍がぶつかり合うようになりました。
今夏より、習氏は、「小革命」(文化大革命?)によって「強大な社会主義の原点回帰」をめざし、「共同富裕」(共に豊かになる)の実現に向け、自由奔放な経済の在り方を修正しようとしています。

共産党は監視カメラや顔認証で中国の個人情報を完全管理しましたが、アリババ、テンセントはそれをしのぐ個人情報を掌握し、同様に国立銀行をしのぐ小口金融や手数料(金利)により金融のリーダーシップを手に入れようとしました。
WEBゲームはテンセントのドル箱でしたがゲームの許認可は共産党の検閲下に入り、塾やオンライン教育も共産党教育の趣旨に反するとして、急速に取り締まり強化をしました。
そのためプラットホーム企業(アリババ、テンセント、滴滴、TALなど)の株価は7月に暴落をしたのはご承知のとおりです。
これから中国の資本主義、株投資は新時代に入り、投資方針をどうするか重要な分岐点ですね。小生の思いは・・・それでも中国の成長に賭け、アリババとのお取引にも挑戦し、中国投資を続けていく覚悟です。

◆韓国気質資本主義
サムソンは韓国の株式時価総額の3分の1を占める代表的な企業です。
しかし、サムソンの前CEOがビルから飛び降り自殺したり、現副会長が逮捕され収監され保釈されたりしています。
これは歴代大統領と財閥トップは癒着関係となって国・企業を引っ張ってきました。
その大統領の家族や地縁・血縁でつながった人たちが贈賄・収賄の汚職事件を度々引き起こし、大統領の暗殺や辞任後の逮捕されたり、非常に恨みを残します。
その政権につながる財閥のボスは、大きな批判にさらされ逮捕され労働組合の攻撃を受けます。
巨大な財閥は大きなリスク、国民の恨みを買いやすい存在であり、小生は投資には不向きと思います。

◆欧州・・・社会資本主義
欧州の大企業は政府の関与度が大きく、労働組合は経営に大きな発言権を有します。
また企業の創業一族や親せきが大株主であることが多く、CEOは自由な経営判断は許されません。
これでは、企業のかじ取りが慎重で保守的にならざるを得ません。
欧州投資で儲けるのは至難の業ですね。

◆日本・・・日本的体質資本主義
これは、皆様方のほうがよくお感じです。
アメリカの対比で次の項目でみてみましょう。

◆「日本的経営」と「アメリカの株主資本主義」

日本は「創業以来の歴史を誇り、自己資本比率の高さと自己資本の大きさを信用の拠り所」とします。
時価総額日本一のトヨタの自己資本は24兆円、世界一のアップルは7兆円です。
上記の表を見て、日本とアメリカの資本主義に対する常識が大きく違いますよね。
自己資本高を小さくすれば、純益÷自己資本(EPS)が向上します。
そのために自己資本から高配当(年4回)をして、自己株式の買い取りを進めます。
すると、当然ながら、株価は好反応をして株価は値上がりします。
また、新規事業に積極的に投資を売上・利益の成長性を向上するように努めます。
株価は「高成長と高収益」に対して、高騰を続けます。

以下は、アマゾンの業績表です。

このすごい成長性に目を見張り、売上構成をみて納得しますが、利益構成(記入はありませんが)はAWS(クラウドサービス)が大きな利益を生み出しています。
CEOは、J.ベゾスから、AWSトップのアンディ・ジャシーに移ります。
こんな少ない自己資本高(アップル7兆円、アマゾン10兆円)で、不景気が来たらどうするのかと日本の経営者なら怖気をふるいますが・・・
アメリカではプラットホームの充実、研究開発費は惜しげもなく投資し、数多くの特許を有し、脅威となりそうな新鋭企業をM&Aで買収していきます。
一方で、従業員の削減や工場や事業部の縮減をして、非効率な製造部門を売却してファブレス(製造部門無し)化していきます。
しかし近年は、半導体不足や中国の製造業の脅威にさらされ、アメリカ本土での工場の再投資、雇用の確保に変わってきました。
株主と経営者にとって最も好都合な国、しかし、従業員、国民にとって極端な株主資本主義は不利益でしょうね。
当面は成長と高収益の国、アメリカは投資には最適の国でしょうね。

後記
日本資本主義の父、渋沢栄一の「公益資本主義」の考え方は、日本の根底に流れています。
お客様、従業員、取引先、株主、地域などのステークホルダー(利害関係者)にとって、バランスよく幸せな関係が一番大事だと思います、
グローバルな潮流に合わせていかに金儲けをするか、判断のむつかしいところです。
目の前の相場(株の上下)と、大きな政治・経済の流れをいかに読むかは、昔も今の重要なテーマですね。
くだくだと失礼しました<(_ _)>