2021年10月18日 (月)
社史を作るということ
ある大学で経営学の実習として「社史作り」に取り組んでおられます。
創業時の社会情勢、業界環境を踏まえて、創業者の生い立ちと思いを振り返り、創業時の苦労、培われた社風などを調べ、発展の歴史と何度も襲ってくる危機を乗り越えて今日に至る経験値を追体験しよういう狙いでしょうね。
弊社の「創業140周年で作った社史」と「150周年の社史」(2017年)を振り返ってみました。
◆「140周年記念誌」の刊行は2007年でした。
実は、その前年の「たけうちショック」(年商5百億円の”たけうち”呉服店の大倒産)が発生しました。
これ以降、きものの販売法が「長期ローン販売、高齢者への販売、重ね売り」が厳禁となりきもの業界は「勝ちパターンの販売方法」を封じられ途方に暮れました。
業界としては、翌年の「リーマンショック」(2008)よりも厳しい打撃でした。
この時、元気を出そうと宝ヶ池の国際ホールを借り切って徳力道隆さんプロデュースで「1日楽し、桜ろまん」の創業140周年イベントを開催しました。
その時にハンディな記念誌として、パンフ(24頁)の3部作を作りました。
「140周年記念誌」の抜粋
●1部、ツカキを生んだ近江
レイクマザー琵琶湖に育まれ、江戸時代以降、近江商人は多くの企業を起こしました。
近江藩(井伊直弼大老で有名な井伊家です)は合理的な重商政策で近江商人を支えました。
●2部、ツカキを生きる人々
戦後の復興期を支えて代々の専務取締役(別家として退職後も弊社を支える)
近江商人の家訓に登場する商法
●3部、140年、そして現在
140周年記念イベント、「一日楽し、桜ろまん」(宝ヶ池国際ホールにて)
家訓「積善の家に必ず余慶あり」(善い行いを積む店には必ず子孫によい事がある)
家訓「謙虚に精進し勤勉質素であれ」
2017年に150周年を迎え、新しい社史を作りました。
◆「150周年記念誌」(96頁)
「三方よし、ツカキのいまむかし」
弊社の顧問の東久邇様ご夫妻(東久邇信彦様は、昭和天皇の初孫様、1945-2019)
西陣織あさぎの故郷、丹後(京都府北部)にての博覧会と交流会
加賀友禅、女流作家競技会の開催
お彼岸さんで、別家一同がそろって大先輩の慰霊碑「功労者の墓」へお参り
きもの販売会の華やかな様子とゴージャスな宝石毛皮の展示会
役員の勢ぞろい
◆来年の2022年は、155周年で色々なイベントで頑張ります。
◆2027年は、いよいよ160周年。待望の記念誌を制作します。
社史とはなんでしょうか・・
1. 縦軸に、創業から今日までの出来事を描いてみます。
2.そして社会の出来事を記します。
企業が存亡の危機なさらされる4つの危機
① 明治維新や第2次大戦の敗戦のように政府が崩壊し体制が変わる
② 世界恐慌(1929年)のように株価が暴落して9分の1になる
③ 関東大震災や東日本大震災のような極度な天災
④ パンデミック(1918-20のスペイン風邪、2020-21のコロナ)による大打撃
この危機をいかにしのいだか・・・重要なテーマです。
「ピンチからチャンスは生まれ、チャンスに次のピンチが芽生える」
3.そして横軸に同じ業界がどうなったか?
そこからM&Aのチャンスがあったり、業界の首位攻防戦があります。
4.主要なお得意先や仕入先の動向は重要ですね。
5.社員仲間の頑張りや社長家族の働きなども重要なテーマです。
こんな中で、当社の社風・強味を分析することは大事なことですね。
5. 社史のハイライトは未来図をいかに描くか?
過去に感謝し、現在を謙虚に反省して、未来へ夢をはせる・・これが社史の役割でしょうね。