2022年2月21日 (月)
美術館の文化講演会・・・琳派の美の系譜
西陣織あさぎ美術館の今回のテーマは、「琳派 ― 美の系譜 ―」
今回の講演会は同テーマで、“琳派の美術家の第一人者”である細見良行さん(細見美術館の館長)に講演して頂きました。
京都市の岡崎にある細見美術館、大阪の泉州で毛織物業で大成功した初代から親子三代であつめた古美術のコレクションは世界的に有名です。
今回は当館のファンの美術愛好家と当美術館スタッフ、弊社の役員らが聴講しました。
先ずは、細見さんの欧米での琳派への評価の話です。
パリ市立東洋美術館で「京都の至宝、琳派の創造の300年」
これは先日まで開催中されていた「琳派とマンガ」
バーチャルな「初音ミク」が登場です(^_-)-☆
日本の昔の大和絵や仏教美術はヨーロッパの人々には難解ですが、江戸期以降の琳派のアートに人気が集まり、大正~昭和初期に活躍した神坂雪佳のもつ現代性には人だかりができる熱気です。
今日のテーマは・・・琳派6人衆です。
本阿弥光悦・俵屋宗達は安土・桃山時代から江戸初期に活躍し、百年後の江戸中期に尾形光琳が京都で活動、さらに百年後に江戸後期に酒井抱一・鈴木基一が、そして大正時代に神坂雪佳が活躍しました。
百年の空白が生まれながらも延々と続く琳派の美の系譜・・・・
◆本阿弥光悦(1558-1637)
かれは名門の出身で朝廷とも近く、書の名手であり刀の目利きであり和歌にも通じていました。家康から京都・鷹が峰に光悦村を拝領し江戸時代の芸術村として繁栄しました。
宗達・光悦作「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」
宗達が料紙の絵を描き、光悦が伸び伸びと書をしたためています。
熱弁する細見良行さん
「舟橋蒔絵すずり箱」(国宝)
本阿弥光悦は、陶芸家、絵師、蒔絵師など色々な芸術家とコラボし芸術の枠を広げました。
◆俵屋宗達(1570?―)
「風神雷神」(国宝)
「蓮池水禽図」れんちすいきんず(国宝)
水に潜った水鳥、乾いた羽の鳥など、表現力は実に写実的です。
たらしこみ技法を駆使
今でこそ宗達は有名人ですが、当時の社会的地位は低く生年も没年も不明です。
◆尾形光琳(1658-1716)
裕福な呉服商{雁金屋}の息子に生まれ放蕩な生活の中で芸術の目が養なっていきました。
「燕子花図屏風」(国宝)
「紅白梅図屏風」(国宝)
「風神雷神図屏風」(重文)・・・色々なひとが風神雷神に挑戦したのですね(^_-)-☆
◆尾形乾山・・・光琳の弟
光琳・乾山作「布袋図角皿」兄弟コラボの作品です。
◆酒井抱一(1761-1829)
かれは姫路城主の酒井家の次男坊。江戸屋敷の部屋住みで文芸に凝り遊蕩にふけったといいます。やがて屋敷を出て市井の絵師として活躍します。
「夏秋草図屏風」
「桜に小禽図」
◆鈴木其一(1795-1858)酒井抱一の弟子として世に出ていきます。
「夏秋渓流図屏風」
◆神坂雪佳(1866-1942)
京都御所の警護の武士の家系で京都の粟田口に生まれる。
イギリスのグラスゴーで開かれた国際博覧会でアールヌーヴォ―の全盛でジャポニズムに沸く欧州で図案の勉強をした。
「金魚」
「百々世草、狗児大」
「百々世草、八つ橋」
講演後の質疑応答
細見さん「ルネッサンス以降の欧州の芸術家は科学者でもあった。しかし、日本の芸術家は古典に通じた文芸人であった」
色々なご意見がでて中身のある討議でした。
細見さんへ拍手万雷でした。