喜左衛門ブログ:President Blog

喜左衛門ブログ:President Blog

2023年1月6日 (金)

丹後の西陣織の機場(はたば)廻り

LINEで送る

京都府北部(日本海沿岸)の丹後地方は、昔、「海の玄関」でした。
丹後は大陸からの文化の入口であり、日本三景のひとつである「天橋立」(あまのはしだて)など、風光明媚な土地として知られています。

さて、当社の「西陣織あさぎ」の機場(はたば)へのあいさつ回りに出かけました。
西陣織の製造の流れは、織元(当社)が織物の紋図(デザイン設計図)と金糸や染色した絹糸を用意し、ダイレクトジャガードなどの織機の中枢装置を提供します。
機屋(はたや)さんは、それを自分の織機と技術で西陣織を織り上げます。

丹後地方の当社専属の9軒の機屋(はたや)さんへ久しぶりに訪問しました。
◆浜岡さんの機(はた)です。
ここで、塚喜商事㈱あさぎ事業部の新入社員(手崎さん)が研修中です。
左から浜岡さんの奥さん、浜岡さん、見習い中の手崎さん(丹後の現地採用)

手崎さんが任されている織機で懸命に勉強中です。

手崎さんの機(はた)の貫糸(ぬきいと。緯糸)の管巻きです。

ベテラン浜岡さんのアイデアで装置を作ってもらい、絹糸のテンション(張力)を調整しています。
ただ今、手崎さんが織っています。

勉強に西陣織の「鳥獣戯画」を織っています。


浜岡さんの西陣織を次代へ繋ごうという熱意と手崎さんの熱心な意気込みがかみ合い、現場での苦闘は続いています。

名人・浜岡さんご夫妻が織っている伊藤若冲の丸帯です。

全員で仲良く撮影です。

左から小生、浜岡夫妻、手崎さん、右端はあさぎ事業部のエース名越室長です。
浜岡ご夫妻のお人柄、ご尽力に心より感謝をしておいとましました。

◆先日の大雪で残雪があります。

能勢さんを訪問しました。
プラチナ糸で松葉の丸帯を織って頂いています。

プラチナ糸が絡まり手間がかかりすぎ機織りが難しすぎて織元(当社)へクレームです。
ジャガード織機の難易度は高く、レベルの高い職人技がいたる所で要求されます。
能勢さんご夫妻には、西陣織あさぎ美術館の製造工程の動画で熱く語って頂き、多くの方に熱い共感を頂いています。
織り手の苦労話を聞くほどに丹後の伝統産地の現場を見学したいという方が沢山おられます。

◆田中梅さんの機(はた)です。

田中ご夫妻と小生、当社の名越室長と一緒に・・・

ただ今、ウサギの柄を織って頂いています。

永年の「西陣織あさぎ」の織り手さんだけに、長く話し込みました。
田中梅さんの西陣織あさぎへの熱烈な愛情と誇りを感じました。

◆藤田ご夫妻です。

奥さんは機織り(はたおり)の名人で、福井の永平寺の格天井図の丸帯を織って頂いています。

奥さんの後ろにある紋図の通りに織っていきます。

織物は表地が裏側になります。
これがその作品で人気の見事な丸帯です。

丹後は禅宗の盛んな土地柄で、曹洞宗のお寺が多く、その本山である永平寺さんの絵柄だけに愛情深く織って頂いています。

◆他に各機屋さんを廻り、整経屋さん(タテ糸つくり)の翔英さんなどを回りました。
話しは尽きず、心ばかりの品(灘の清酒・白鷹の一升瓶)を各機屋さんへお渡ししました。

◆帰りの丹後工業組合の田茂井理事長(田勇企業の社長)を訪問しました。
田茂井家のお屋敷の庭園は先々代が重森三玲へ作庭・書院の設計を頼まれ見事なものです
先代の社長(故人)ご夫妻は、京都市吉田の重森三玲旧宅(招喜庵=拙宅)や、我々の五個荘本宅へもお越し頂き、とても親しくして頂きました。
当代の社長さんは実に仕事熱心な方で、機屋業も同業組合の理事長としても精励されています。お若いが尊敬できる方です。

◆9軒の機屋さんを廻り、色々なクレームや困りごとを沢山、沢山、聞いて京都への帰路につきました。

機屋の皆様のご苦労、艱難辛苦のおかげで我々があることを再び実感しました。
伝統産業を守るため、我々は質の高いデザイン、いい商品企画を考案して、しっかり売れる体制を作っていく決意をしました。
まずは若手の人材育成、織機のメンテナンスも火急の課題です。
皆様もご支援、ご協力を切に願う次第です<(_ _)>
ありがとうございます。