2024年8月28日 (水)
民家再生協会の見学会(重森三玲旧宅)は盛り上がりました!(^^)!
先週の日曜日、民家再生協会の近畿ブロックの「古民家再生の事例勉強会」がありました。
会場は、重森三玲旧宅です。(京都市左京区吉田)
永年お世話になった重森由郷先生(故人、三玲の娘さん)から相談があり、京都大学の近くの吉田神社の参道にあるお屋敷の今後についてどうするかということです。
相続などの問題もあり、永年のお悩みだったのです。
相談の結果、屋敷を「重森三玲庭園美術館」(三玲が作庭したお庭と書院・茶室)と、「招喜庵」(築300年の主屋)に分割して所有管理をすることになりました。
前者が重森家、後者は塚本家が所有管理し、全体を「重森三玲旧宅」として文化財として運営し、両家が協力してこの文化財をいつまもでも残すことにしました。
文化財保存としてレアケースかもしれませんね。
民家再生協会の会員30名がお越しになり、小生は招喜庵にて歴史と経緯についてお話をしました。
主屋の「通り庭」を改造して広くなった台所が会場です。
重森三玲ゆかりの座敷のしつらえ
三玲の愛用の「うさぎの釜」
会員さんは移動して、「重森三玲庭園美術館」の見学です。
重森三明館長(重森三玲のお孫さん)の庭園、書院、茶室の解説です。
残りの半分の15名の会員さんは、荒木社長から主屋(招喜庵)の工事の説明です。
実は、18年前に招喜庵の改修工事をアラキ工務店(荒木社長)にお願いし、10カ月をかけて施工しました。
当時は築300年の屋敷の柱の礎石が沈下して、11センチの傾き(凸凹)がありました。
そこで11か所、ジャッキ・アップして傾きを正し、礎石を直し、腐った柱の底部をカットして柱の根継ぎをしました。
会員の大工さんからプロらしい熱心な質問が相次ぎました。
アラキ工務店とすると、築300年の古屋敷の工事をして18年たった現在も狂いなく、しっくい壁のひび割れすることなく、美しい状態であることが施工者として最大の誇りのようです。これは施主として感謝すべきことです・・・・
ここで会員さんからの質疑応答です。
柴山直子さんが司会進行です。
重森三明さんからこの建物「社家」についての話です。
この地域は、平安時代から吉田神社の社家(神主など)の屋敷が連なる地域でした。
こういった社家の屋敷街は、上賀茂神社に残り(重伝建地区)、また下鴨神社(世界遺産)にもあります。
吉田神社の神官だった鈴鹿家の屋敷を、昭和18年、重森三玲が取得して、自作の庭園をつくり、屋敷を自分でデザイン化して、古典を重んじる中で「究極のモダン」を実現しました。
民家再生協会の会員の感想は、京都の歴史、重森三玲の魅力、文化保護の観点、再生を果たした施工事例、両家のコラボなど、色々な観点で面白い勉強会だったようです。
さて懇親会・・・・
乾杯から始まりました・・・
左から、再生工事を成功した荒木社長、小生、重森三明館長のトリオ
柴山さん(建築士)、京都工芸繊維大学生(かやぶき職人志望!!)、斎川住職
かやぶき屋根の話で盛り上がり、住職は比叡山の声明の名手で世界を廻っておられます。
ケータリングサービスのスター食堂は、創業百年の老舗で、味もサービスも満点でした。
楽しい夜は更けました。
酔っ払っての帰り道、京都大学の前を歩いて行きました。
楽しい文化的な同志の会でありました・・・